文化的営みとしての数学授業に関する一考察
〜角の三等分問題を通して〜
要約
1.はじめに
今回の授業では検討する態度また考察する態度の育成を目指す。また、情意面に重点をおいている高等学校の学習指導要領−数学基礎の内容の取り扱いにおいて、数学史的な話題を取り上げるものとするとなる。そこで本研究では、これらのことを踏まえ角の三等分のいう1つの数学問題の形成過程を追いながら、それに関わる数学的発見や数学者達の考え・取り組みに触れ、人間の文化的営みとしてみる数学史を活用した授業を行い、以下の研究目的について授業実践を通して考察した。
2.研究目的・研究方法
研究目的を教材としてギリシア数学「角の三等分問題」を用いて、当時に考え出された数学の成果とその批評について生徒自身に解釈をさせる授業は、考察・検討する態度を育てることに有用であるかどうかを考察する。研究方法として、本研究の目的を達成するために、以下のように課題を設定し考察する。題1生徒は、数学が人間の文化的営みとして発展してきたものであると捉え、その形成過程を生徒なりに認識することができるか。課題2生徒は、数学の形成過程に触れることで、発見する喜びを感じたり、数学における自分なりの価値や批判的に見る大切さを見出いだしたりすることができるかということについて行った。
3.おわりに
本研究では、角の三等分という1つの数学問題の形成過程を追う中で、それに関わる数学的発見や数学者達の考え・取り組み、また成果に対する批評などに触れ、数学の形成過程としてだけでなく、人間の文化的営みとして数学史を活用する授業の提案を試みた。その結果、答えが出ても他の方法で考える姿勢が見えたり、本当にヒッピアスの曲線は存在するのかと考えたりする生徒が出てきた。これらのことより、今回の授業は生徒それぞれの考察する態度を養うことに、有用であると言える。