なぜ,このような器具(しくみ)で,楕円が描けるのでしょうか.そのことについて考えてみましょう.
楕円の性質は様々ありますが,ここでは,定円周上の同点Pから,その円の定直径に垂線を引き,PMを一定の比に外分(または内分)する点Xの軌跡が楕円となることを利用して,この器具を考えたようです.
では,Cavalieriの器具の場合,この性質が利用されているか確かめてみます.
線分VRを直径とする円を描き,この円と線分BCとの交点をSとします.
更に,VT,VR,QH(=HA)の長さをl,m,
とします.
∠TVR=∠R=∠QHR
∠VRT=∠HRQ より
ΔTVR∽ΔQHR
∴TV:VR=QH:HR
l: m=
:HR
∴ HR =
@
@より,VH=VR−HR
=
A
∠VPA=∠VHP=∠PHA=∠Rより
ΔVHP∽ΔPHA
∴VH:HP=PH:HA
Aより,
:HP=PH:![]()
HP・PH=(
)![]()
HP
=
(
)![]()
HP>0より, HP=
B
点Sは,線分VRを直径とする円の円周上の点であるから,
∠VSR=∠R
また,∠VHS=∠R=∠SHRより
ΔVHS∽ΔSHR
∴VH:HS=SH:HR
@,Aより,(
):HS=SH:![]()
HS:SH=(
)![]()
HS
=(
)![]()
HS>0より, HS=
C
B,Cより,HS:HP=
:
=
:1
よって,線分VRを直径とする円から,線分VRに下ろした垂線を
:1に外分する点の軌跡がCavalieriの器具によって描かれる楕円ということになります.
従って,Cavalieriの器具のよって描かれる楕円は,lとm,即ちVTとVRの長さによって定まることになります. (終)
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