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「写角簡儀」の数学的解説


幾何的な解釈 1,2
 六分儀(写角簡儀)の原理から,バーニアで読んだ角は,船からこの器械を見込む角を示すことになる.即ち,左図で言うと,∠ACBの値を知ることができる.船までの距離ADが今求めたいものであるから,例えば下のようにして計算できる.他にもいろいろな方法で計算できるが,実際にどのような計算で表を作成したのかまでははっきりしない.

 写角簡儀は,2つの窓から入った光線で合わせる距離計連動カメラの原理と同様である.

 この装置が実際にどのように使用されたかは不明だが,図などから読み取れるように,地上の測量が目的ではなく,恐らく海上にある異国船を砲撃するための一種の軍事技術という色彩が強い.1853(嘉永6)年春,ペリーが来航した.『六分圓器量地手引草』が著されたのは嘉永6年秋であり,このことからもこの頃の時勢が現れているように思われる.
 表によると,測得角度が4度の時に対応する目的距離を読むと33間5分である.この距離の値は,例えば以下のようにして計算できる.
For Allプロジェクト/数学史の授業例: 日本の測量における六分儀
参考文献:1) 中村士(2001). 東アジアの天文・暦学に関する多角的研究
大東文化大学東洋研究所,pp.71-119
      2) 松崎利雄(1979). 江戸時代の測量術,総合科学出版

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